狼は獲物を捕まえて離さない

俺に『狼鬼』と名付けて後を継がせてくれた先代には感謝だ

俺はどうやら本物のオオカミらしい

「まだ足らねぇけど、このままここにいたら姫を襲ってしまいそう」

俺のそんな気持ちが届いたのか、乃愛瑠は両手で顔を挟むと、俺に軽くキスをした

「そろそろ晩御飯じゃん?部屋戻るね?まだ居たいけどねー、あ、いいこと思いついた!このまま一緒に最上階まで行けばいいんだ。じゃあ行こ〜」

あ、そっか…一緒に最上階まで行けばいい

なんでそんなことにも気づかなかったんだ?

次は乃愛瑠が俺の手を掴んで、男子部屋を出るとエレベーターに乗り込んだ

そのエレベーターの中でも俺はずっと乃愛瑠ちゃんを抱きしめて離さなかった

やがて、エレベーターは最上階に着いた

ドアが開いたから、エレベーターをおりると、乃愛瑠の友達が壁にもたれかかって腕を胸元で組んでいた

そのさまですら綺麗と思ってしまった

夏葵の彼女なのにな