ラスは本来、飲み食いしなくて良いはずなのだが、別に食べ物を食べられない訳でもない。
(成竜になると、空気からの魔力だけで十分なんて……なんて勿体ないんだ。俺は大きくなっても、ずっと食べ続けたい……)
ぶつぶつと何かを言っているラスに特に反応するでもなく、ナトラージュは角を曲がった。
ラスが言っていた出店は、この裏道に入るとあったはずだ。けれど、この裏通りを以前に通った時は昼だったせいか、薄暗く全く様子が違っていた。
「……引き返しましょうか」
ナトラージュは、眉をひそめなぜか、湧き上がる不安を感じた。
裏通りと言えど、華やかな大通りは近いので並んでいる店には灯りが付いていて開いている。
けれど、真っ暗な細長い路地からは、何かが出てきそうだ。周囲には自分たちだけしかいないような、そんな錯覚に陥って来た。
(……あの焼き鳥の匂いは、今はしないな……あれは美味しかったから、忘れるはずがない)
ラスは確認するようにクンクンと首を反らせて、匂いをかぐ。
「……そっか。仕方ないね。じゃあ、大通りにまで、引き返しましょうか」
(成竜になると、空気からの魔力だけで十分なんて……なんて勿体ないんだ。俺は大きくなっても、ずっと食べ続けたい……)
ぶつぶつと何かを言っているラスに特に反応するでもなく、ナトラージュは角を曲がった。
ラスが言っていた出店は、この裏道に入るとあったはずだ。けれど、この裏通りを以前に通った時は昼だったせいか、薄暗く全く様子が違っていた。
「……引き返しましょうか」
ナトラージュは、眉をひそめなぜか、湧き上がる不安を感じた。
裏通りと言えど、華やかな大通りは近いので並んでいる店には灯りが付いていて開いている。
けれど、真っ暗な細長い路地からは、何かが出てきそうだ。周囲には自分たちだけしかいないような、そんな錯覚に陥って来た。
(……あの焼き鳥の匂いは、今はしないな……あれは美味しかったから、忘れるはずがない)
ラスは確認するようにクンクンと首を反らせて、匂いをかぐ。
「……そっか。仕方ないね。じゃあ、大通りにまで、引き返しましょうか」