「あ、あのっ……先ほどは、本当にごめんなさい。あの時に居たスカーレットお姉様と私は、ちょっと難しい関係で、子供の頃から色々あって……もし、今私に付き合っている男性が居たら、安心して貰えるんじゃないかと、咄嗟に思っただけなんです。グリアーニ様の腕を取ってしまったのは、自分でもよくわからなくて……ヴァンキッシュ様には、こんな私だと不釣り合いに見えちゃうんじゃないかと、どこかで思ってしまって……あと、その、本当に貴方のことが好きだから……それをあの時に知られてしまうのが、すごく恥ずかしかったんです」

 顔を真っ赤にして必死に言葉を紡ぐナトラージュにゆっくりと近づき、彼は手の甲で頬を撫でた。

「……うん。良いよ。続けて」

「ヴァンキッシュ様は……さっき、ご自分の顔や外見が好きじゃないって言ってたんですけど、私はすごくすごく好きです。いつも傍に居るだけで胸がドキドキして……あと、もしかしたら、皆が……グリアーニ様の方が良いって、そう言うかもしれないんですけど。誰が何と言ったとしても、私はヴァンキッシュ様が良いです。好きなんです。だから……」

「……だから?」

「私の恋人になって、貰えませんか。いつか立派な召喚士になって、ラスが成獣になったら。私をオペルに一緒に連れて帰って欲しいんです」

 震える声で言い終えた、その時の彼の顔はナトラージュには見えなかった。苦しくなるほどに強い力でぎゅうっと抱きしめられて、固い胸に顔をつけた。温かなぬくもりと、胸を叩く早い鼓動。

「……僕は君を、愛している。命果てるまで、ずっと傍に居てくれ。僕の可愛い召喚士さん」