意地悪な光を孕んだ目になっているこの人は、キスをしている時から、舌で全身舐められている時から、胸を嬲られている時から、ナトラージュはずっとずっと、そこに触れて欲しくて堪らなかったのを知っているのだ。

 申し訳程度の黒い下生えを通り抜けた、その先にある泥濘に長い人差し指がたどり着いた時、くちゅりと水音がした。彼はそれを聞いて、目を細めた。

 ちいさく狭い谷間を一回だけ通り抜けて、ヴァンキッシュは指をあげて、その様子を顔を真っ赤にして見ているナトラージュに見せつけるようにして口の中に入れて舐めた。

「甘い……良く、濡れてるね。じゃあ、ここを可愛がることにしよう……ゆっくり、時間をかけてね」

 そう言われたヴァンキッシュの声に、ナトラージュは何も返すことは出来なかった。ただ、潤んだ目で見返しただけだ。

 目の前の愛しい人に、心からそうして欲しかったから。出来れば、彼も満足出来るまで。嫌になるくらいの、長い時間をかけて。