おそらくは今まで施した何回にも及ぶ手淫のせいで、快感にとろけきってしまっている若草色の目が近づいて来たと思う間に、彼は首筋に顔を埋めた。そこを開始地点にして、熱く濡れた舌が滑らかな肌をさまよった。

 熱に浮かされたように動き続ける彼は、無言で愛撫を続ける。

 さっきまでの瀕死状態であったことなど、全くなかったことのように。ヴァンキッシュは初めての快感に薄紅に染まる女体のすべてを、味わい尽くすように舐め回した。

 彼は城でも数多くの囁かれている噂の通り、とっても経験豊富なのだろう。最初は柔らかな舌の刺激だけで、徐々に高まらせようというのか。両手をあまり使わずに続く優しい愛撫は、それを受け止める側の女性の要求を良くわかっていて、とても巧みに感じた。

 目の前にいる人が処女であるのを、今までの多くの経験から察しているのか。それとも、彼はこういう時には、思わず憎くなってしまうくらい前戯に時間をかける主義なのか。