中山学、74才。

彼に好感を持つような物好きな人間は、世界中の何処を探しても皆無である。

外面はよくても、空気は全く読めておらず、酒乱で、妻子への暴力に暴言。

まだ働いていた頃は、仕事のできない能無し万年課長で、女好きの助平根性だけは一人前だった。

しかも、老人になった現在も、その好色ぶりは直らないという有り様。

そんな学は、無職の現在、家族にとって、目の上のたんこぶ以外の何でもない。

学には妻と2人の娘が居たが、全員が彼を心底嫌っていた。

嫌っていたどころではなく、決してゆるせないとさえ思っている。

しかし、学は全くそれに気付いていない。