王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~

 聖樹に手をあてて目をつぶり、ユリエとの言葉を思い出す。


『その、恥ずかしいのですが、ホームシックになっていたようでして』

『私は帰れるのだろうか、って』


(あなたはまた寂しい思いをしているのではありませんか?)

 ユリウスはユリエの悲しい顔、そして笑顔を思い出す。
 そして心の中で誓う。


(もう二度とあなたを悲しませない。もう二度と帰れないと寂しい思いをさせない)

 ユリウスは聖樹に誓ってそして背を向けて歩き出した。

(必ず無事にあなたをクリシュト国へと連れて帰る策を練ります。だから無事でいてください)