王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~

◇◆◇



 彼女と手紙のやり取りをするうちに、私は彼女のことがどんどん好きになっていった。
 不謹慎だとは思ったが、それでも秘密の関係というのがさらに燃えたのか、彼女の内面から出る美しさ、そして強さに惹かれていく。

「会いたい」

 気づけば自分でも驚くほど切なげにつぶやいていた。
 私は心を落ち着かせるため、ある場所へと向かった。


「ここは落ち着くな」

 ここは王宮の裏庭のさらに奥の一角で聖樹と呼ばれる立派な木が立っている場所だった。
 そこにはよく元王妃である母と行っていた思い出の場所であり、私は何かあるとここに来て心を落ち着かせた。
 すると、そこになんと彼女が現れた。