「わしの可愛い子供を危険に晒した挙句、勝手に聖女召喚、そして民衆からの不当な税の徴収。どう落とし前をつけてもらおうか?」
「こ、昏睡状態だったのでは……」
「ユリウスが匿ってくれ、半年前から様子は聞いていたよ。そして今のやり取りも全てそこで聞かせてもらっていた」

 王はマントをはためかせ、謁見の間に集った者たちに告げた。

「イルジー・ヴィ・スタリーの名において、王妃アンジェラ・ル・スタリーを国外へ永久追放とし、それに加担した第一王子エリク・ル・スタリーを辺境の地へと追放とする!」
「おおおおーーーー!!」

 取り囲んだ兵は王妃直属の兵ではなく、実は王直属部隊であった。
 兵たちは声をあげ、王の復帰を歓迎した。
 私とユリウス様は共に目を合わせて微笑むと、そっと静かに頷いた──