翌日、私は何度かおこなっているようにリアの目を搔い潜って王宮書庫室に行くと、そこには書庫室長と昨日部屋に来た執事長、そしてユリウス様が立っていた。

「お待ちしておりました」

 私はそこにいる者たちの瞳の奥に何か自分のまわりにいた者たちと違う雰囲気を感じた。

「リーディア、あなたはもしや何かの術にかけられていましたか?」
「──っ!」
「ここにいる者たちは皆私の近しい者。王妃に告げ口するような人間ではありません」

 ユリウス様は、私を安心させるようにそう言った。

(本当に彼を信じていいの?)

 不安そうな顔を自然と浮かべてしまったのか、ユリウス様は胸の前に手を当てて丁寧に頭を下げながら名乗った。

「改めて、私はこの国の第二王子ユリウス・リ・スタリーです。あなたがこの書庫室で調べていた内容の通り、今は亡き元王妃の息子です」

 やはり、彼は元王妃の息子で間違いない。
 いや、でもそれだけで信じるわけにもいかない。
 どうする?

 そんな私の考えを見抜いてか、ユリウス様は胸の内を語り始める。

「私はあなたを助けたい。まずは話を聞いてから信頼に足る情報か聞いてほしい」

 そう言うと、ユリウス様は王妃や元王妃、そして自分自身の立場を語り出した。