なんだか背中がひんやりしている感じがして私は目を覚ました。
 薄暗くてなんだか嫌な雰囲気が空気を伝って私の身体に入って来る。
 王宮の高い天井と違って低めの天井が目に入り、私は床に寝ていることに気づいた。

 なんだか床に引っ張られているような、床の何かに力を吸われているようなそんな気配がしてがばっと起き上がる。

「──っ!」
「あら、起きたの? もう少し寝ていれば苦しまずに死ねたのに」

 声のした方へ顔を向けると、そこには扇で顔を半分隠した高貴そうな女性がいた。
 レースや装飾が派手派手しいその様相を見て、なんとなく悪女っぽさを感じる。
 いや、その見た目だけで人を判断するのはいかがなものか、と思うが、いかにもな雰囲気に思わず考えてしまった。
 女性の横にはこれまた怪しげな魔術師風情が立っており、私のほうへ向かって両の手のひらを見せて何かぶつぶつと呟いている。
 その声に反応するように、私の周りに光がぼわっと現れて私を再び床へと貼り付けた。

「んぐっ!!」

 息苦しさと床に打ち付けられた衝撃で私はうめき声をあげた。