これは、愛しかない


私の上に覆い被さるふーくんは、鬱陶しそうな表情で手錠に視線を移した後、「まお」と優しい声色で名前を呼ぶ。


手錠(これ)、じゃまだから外して」


こくん、と頷いて、鍵を穴に差し込む。

ガチャリ、手錠の外れる音が静寂に響いた。

手錠がベッドから滑り落ちたことに気づかないふーくんは、そっと私の頬に手を添える。

そして、愛おしそうに微笑んで、彼はこう言った───。



「トリックオアトリート」



やばい、ふーくん、かっこいい。

私を見下ろしてくる彼氏の表情に、思わず見惚れてしまった。


きっと、ふーくんは、私にいたずらをしたいのだろう。

ふーくんはお菓子を持っていないが、私は持ってきている。

なんなら、テーブルの上に置いてあるから、手を伸ばせば届くと思う。