しかし、話しかけられたからには逃げられない。
しかも、バスが動き出したからには、目的地に到着するまでこの座席から動けない。
よって、物理的に逃げ場を奪われたことになる。
向こうが満足するまで、嫌でも会話を続けなければならない。
…嫌な展開だ。
無下にする訳にもいかず。
「そうですけど…。…よく知ってますね」
「結構話題になってるんだぜ。お前と星野が付き合い始めたこと」
へぇ、そうなんだ。
まぁ、星ちゃんさんの周りにいるお友達は。
基本的に、お喋りなお口を噤んでおくということが出来ない人ばかりだから。
一度知ったら、周囲に触れ回らずにはいられないのだろう。
難儀な性格だ。
多分、クラスの半数くらいは知ってるんじゃないだろうか。
僕と星ちゃんさんの、現在の関係のことを。
あまり知られて嬉しいことではないな。
「何でお前、星野と付き合ってんの?」
「何でって…」
そう言われても…それは僕が知りたいと言うか。
「彼女の方から、交際を申し込まれたので」
「ふーん…。それでお前は、その申し込みを喜んで受けたのか」
「喜んでと言うより…有り難く受けたと言いますか…」
「でも、何か星野に好きなところがあるから付き合ってるんだろ?」
…好きなところ?
星ちゃんさんの好きなところ?
改めて聞かれると…返答に困る。
「私の何処が好きなの?」なんて、本当に聞き合うカップルはいるんだろうか。
「どうでしょう。これと言って…思いつきませんね」
「何だよ、それ。好きなところも見つけられないなら、何で付き合ってるんだ?」
だからそれは、彼女の方から告白されたからなんですけど。
何であなたがイライラしているのか、僕には分かりませんね。
「ただ言葉に出来ないだけです」
「…星野には、良いところがたくさんあるだろ」
あなたからはそう見えるんですか。
確かに、良いところはたくさんある。
「誰にでも優しいし、明るくて元気だし、話してて飽きないだろ」
べた褒めじゃないですか。
「確かに、彼女の底抜けの明るさに接してたら、こちらも気分が明るくなりますね。…だから僕も一緒にいるのかも」
それに、話してて飽きない、っていうのも当たりだな。
話が右に飛んだり、左に飛んだり…かといって支離滅裂な訳ではない。
いつも楽しそうにしてて、そんな姿を見ているだけでこちらも気分が明るくなる。
それは事実だな。
一応僕も、星ちゃんさんの良いところ、好きなところ、見つけられましたね。
「それだけじゃないだろ。星野の良いところは」
「そうですね。探せば、いくらでも見つかります」
「探さなくても、一目瞭然だけどな」
本当にべた褒めじゃないですか。
この人、星ちゃんさんのことが好きなんですかね。
だとしたら僕は、この人…菅野君にとって。
所謂、恋敵という存在になるのか。
成程。
…笑えるな。
この僕が恋敵なんて。
どれだけ低レベルの争いをしてるんだ、って感じだ。
しかも、バスが動き出したからには、目的地に到着するまでこの座席から動けない。
よって、物理的に逃げ場を奪われたことになる。
向こうが満足するまで、嫌でも会話を続けなければならない。
…嫌な展開だ。
無下にする訳にもいかず。
「そうですけど…。…よく知ってますね」
「結構話題になってるんだぜ。お前と星野が付き合い始めたこと」
へぇ、そうなんだ。
まぁ、星ちゃんさんの周りにいるお友達は。
基本的に、お喋りなお口を噤んでおくということが出来ない人ばかりだから。
一度知ったら、周囲に触れ回らずにはいられないのだろう。
難儀な性格だ。
多分、クラスの半数くらいは知ってるんじゃないだろうか。
僕と星ちゃんさんの、現在の関係のことを。
あまり知られて嬉しいことではないな。
「何でお前、星野と付き合ってんの?」
「何でって…」
そう言われても…それは僕が知りたいと言うか。
「彼女の方から、交際を申し込まれたので」
「ふーん…。それでお前は、その申し込みを喜んで受けたのか」
「喜んでと言うより…有り難く受けたと言いますか…」
「でも、何か星野に好きなところがあるから付き合ってるんだろ?」
…好きなところ?
星ちゃんさんの好きなところ?
改めて聞かれると…返答に困る。
「私の何処が好きなの?」なんて、本当に聞き合うカップルはいるんだろうか。
「どうでしょう。これと言って…思いつきませんね」
「何だよ、それ。好きなところも見つけられないなら、何で付き合ってるんだ?」
だからそれは、彼女の方から告白されたからなんですけど。
何であなたがイライラしているのか、僕には分かりませんね。
「ただ言葉に出来ないだけです」
「…星野には、良いところがたくさんあるだろ」
あなたからはそう見えるんですか。
確かに、良いところはたくさんある。
「誰にでも優しいし、明るくて元気だし、話してて飽きないだろ」
べた褒めじゃないですか。
「確かに、彼女の底抜けの明るさに接してたら、こちらも気分が明るくなりますね。…だから僕も一緒にいるのかも」
それに、話してて飽きない、っていうのも当たりだな。
話が右に飛んだり、左に飛んだり…かといって支離滅裂な訳ではない。
いつも楽しそうにしてて、そんな姿を見ているだけでこちらも気分が明るくなる。
それは事実だな。
一応僕も、星ちゃんさんの良いところ、好きなところ、見つけられましたね。
「それだけじゃないだろ。星野の良いところは」
「そうですね。探せば、いくらでも見つかります」
「探さなくても、一目瞭然だけどな」
本当にべた褒めじゃないですか。
この人、星ちゃんさんのことが好きなんですかね。
だとしたら僕は、この人…菅野君にとって。
所謂、恋敵という存在になるのか。
成程。
…笑えるな。
この僕が恋敵なんて。
どれだけ低レベルの争いをしてるんだ、って感じだ。


