さっきまで告白をされて有頂天だったのに、なんで今、こんな惨めな気持ちになっているのか――
考えれば考えるほど虚しくなって、結局、無言で下を向く。そして先生の興味が逸れるまで、自分の足を見続けた。
すると、私に問うのを諦めた先生が「じゃあ隣の沼田、答えて見ろ」と私から視線を外す。
ホッ――と肩の力が抜けたのが分かった。
「(良かった。これが、今日最後の授業で。今すぐにでも帰りたいよ……)」
私は昔から、あまり喋らない。
本当は喋れる。声は出る。
だけど、喋らない。昔から。
きっと、もう性格なんだと思う。
両親は昔こそ熱心に「もっとお話ししたら?」とか言った。私を何とか他の子と同じようにしようと。
だけど、今では「それも個性だもんね」と、全てが丸く収まる言葉で片づけている。
「私」を諦めたんだろうなって悲しくなる。けど……。きっと今まで、私はたくさん両親を悲しませてきたから。いいんだ。
「個性」という言葉で、私という「問題児」が解決するなら。悩まないなら――両親には、ずっと私の事を「個性」と言い続けてほしい。



