「(夢の中で襲われそうになった仕返しがこれって……。バカだなぁ澤田。
こんなの、仕返しになるかっつーの)」
変に気が抜けたせいか、はたまた、本当に呆れた為か。
俺はクスッと、少しだけ笑ってしまう。本当に、少しだけ。
「(仕返しの仕返しがあるって考えなかったのかよ。そういうところが、バカなんだよ。
今日、夢の中で覚えてろよ?澤田)」
こんなの、ただの小学生のケンカだ。
叩いたから叩き返す、と同じ。
言われたから言い返す、と同じ。
ただ、それだけの事。
幼稚なこと。
取るに足らない事。
なのに――
「(早く、夜が来ねーかなぁ)」
好奇心か、はたまた嬉しさからか――少しだけ心臓が跳ねた事に、俺は気づいてしまう。
そして会いたくもねー奴と必然的に会ってしまう夢の事を、ほんの少しだけ、焦がれてしまったのだった。
◇
普段の学校生活が乱れたのは、その後のことだ。
放課後、俺の席の近くの枝垂坂が話しかけてきた。



