好きよりも、キスをして



「(さすが澤田。俺をガッカリさせる術は心得ているよう、だ、な……?

あれ、なんだコレ?)」



ノートを閉じようと思って、そして、止まった。ちょうど真ん中あたりのページに、何か見えた気がする。


もう一度ノートをめくりなおし、そして――見つけた。


澤田の文字は初めて見るが、書いてある分は澤田本人に間違いなさそうなものだった。


その書いてある内容は、



――夢の中ではやられっぱなしだから。悔しいの。だから仕返し。



それだけ。

今風の女子の字でもない。汚すぎることもない。達筆すぎることもない。言わば普通の文字で書かれた、メッセージ。

やっぱり。このノートを俺が受け取って、そして困る姿を見たかっただけなんだな――と澤田の幼稚な考えに、脱力した。


あぁ、もう。

本当……澤田って、バカすぎんだろ。