「(結局、何なんだよ。このノート……)」
まるで怖いノートでも拾ったみたいな、妙なドキドキ感に襲われる。だって、そうだろ。怖すぎだろ、このノート。
一番後ろの席を利用して、先生にも皆にも見られないように、机の下でノートを開く。ノートの小さいサイズが、こんな所で役に立つとは……。
パラッ
開くと、最初のページには何もなかった。
そして、次のページも。その次のページにも、その次も。
「(なんだ。結局、新品のノートを寄こしただけかよ)」
安心したのが半分、期待外れだと思う俺が半分。いや、期待外れってなんだよ……。
だけど。気になったんだ。アイツが俺にわざわざノートを寄こすなんて、よほどの理由があるんじゃないかって。
嫌がらせ以外にも、何か……。アイツの悩みが書き連ねてあるんじゃないかって、そんなことを思ったんだ。
例えば、沼田との関係に本気で悩んでいる、とか。あとは、俺の告白相手が誰なのか、本当は気になってる、とか。
俺の好きな人は「詮索しない」ってアイツは言ったけど、それでも気になるのが、世の常ってもんだろ。



