「そんな脅迫に、なんで大人しく従ってんの?黙ったまま、なんで言いなりになってんの!?男として恥ずかしいと思わないわけ!?」
「(沼田、落ち着け。うるせぇ)」
「な!”うるせぇ”って!!静之お前、本当はそういうキャラで、むご!!」
ギャイギャイやかましい沼田の口を、強引に手で塞ぐ。そしてもう片方の手で、スマホに文字を打ち込んだ。
そして、その文字を見せた瞬間――沼田は、あっけなくも静かになる。
「(もし俺と朱音が一緒にいる時に、元彼が乱入してきたら?もしも朱音が何かされたら?力で敵わないと分かった時に、俺に何が出来る?
警察も呼べない、大声も出せない。俺は、無力だろ。俺では朱音を守ることは出来ない)」
「……っ」
「(だから枝垂坂のいう事に従っている。それが俺の、朱音の守り方だから。それがアイツにしてやれる、唯一の事だから。
この事は、遅かれ早かれ沼田に話そうと思っていた。枝垂坂が、いつ計画を実行するか分かんねぇし。お前なら、朱音を守ってやれると思うから。
俺は、確かにアイツが気になるよ。目で追ってしまう。尊敬もしているし、アイツのおかげで俺の生き方が変わったって、そう思う事が何度もあった。
だけど、例え朱音を好きだったとしても。心の底から愛してるとしても。
俺とアイツは一緒にいられない。交わらない。俺らは別々の道を、歩かなきゃいけねぇんだよ)」



