「(枝垂れ坂の元カレは、強いらしい)」
スマホに打った文字を見せると、沼田は「は?」と怪訝な顔をした。そりゃそうか。誰だって、いきなりこんな事を言われたら混乱するに決まっている。
俺は、スマホに打つ文があまり長くならないように。だけど分かりやすいように。
文字を打っては沼田に見せ、沼田が頷いたら、また文字を打つ作業を繰り返した。
「(枝垂坂に言われた。校門で赤っ恥をかかされたから、澤田に仕返しがしたいと)」
「赤っ恥?それに校門って……。あ、澤田に静之を横取りされたってやつ?」
俺が頷くと、沼田は顔を歪めた。「しょーもな」と、彼の顔にはっきり書いてある。
「(だから協力してと言われた。どうやら澤田の弱点は俺だと、枝垂坂は思ったらしい。
”私と一緒にいて。それだけで澤田さんは傷つくから”って。
”もしも協力してくれないなら、元カレを澤田の元に向かわせる――この意味分かるわね?”って)」
「は?脅迫じゃん!!」
「(まあな)」
「まあなって……!」
沼田の顔が、怒っている顔つきに変わる。言いたいことは分かる。痛いほどに。そして沼田は、その怒りを言葉にして、俺にぶつけてきた。



