グイッ
今まで近くにいた距離は、ますます近くなり、もう前髪と前髪が触れる。ばかりか、まつ毛同士だって触れそうな距離だった。
私は恥ずかしさと、動悸で頭がテンパってしまって、ただワタワタするばかり。
だけど、静之くんは違った。
さっきまで見ていた静之くんの目にはなかった、強い光。その光の中に、私の真っ赤にした顔が映っている。
今、私はそんな顔をしているのかと思うと。そんな顔を、静之くんに見られているのかと思うと、また、顔から火が出るくらいに恥ずかしくなった。
そんな私に、静之くんは情けをかけてくれなかった。
私を最大限に近づけたのに、まだ足りないのか体をも密着させてきた。胸もお腹も太ももも、そこから下の、足さえも――
密着しすぎて、きっと私の心音なんて簡単に聞かれてしまっている。
そんな想像も、私のドキドキを加速させた。
そして、ついに、その瞬間が来る。



