好きよりも、キスをして


でも、彼女だし?知る権利があってもいいかなぁって思って?



今更な言い訳を、モゴモゴと口を小さく動かして、静之くんに届ける。私の言葉と、想い。彼に、きちんと届いているのだろうか。



「静之くん。私は、あなたの事を……もっと知りたい、です」

「!」

「だから、きゃ!」



それは、突然のことだった。

繋いでいた二人の手は、均衡を保って微動だにしていなかった。

だけど、急に片方に力が加わり、片方が引っ張られる。引っ張られたのは、私だ。



「わ、ぶ!」



ブレーキの効かなかった私の体は、ドンという音と共に動かなくなる。

「何が起きたの?何がどうなってるの?」訳の分かっていない私は、とりあえず顔を上げる。


すると、顔を上げた先にいたのは、静之くんの顔。


顔と顔の距離が、とんでもなく近い。

近すぎて見えずらいくらいに、静之くんと私は、至近距離にいた。