「まっ…!待って!」
「なに」
「言うから…ちゃんと答えるからっ…」
待って、と。
もう一度、口からこぼれ落ちるように言った。
「………………」
首元から離れた春。
上から私を見下ろす春の凍てついた視線が瞳を貫いた。
「あれは…同窓会の時に、帰り道で…」
言葉にしていく度にその時の出来事が一気に脳内によみがえってく。
「春の……一ノ瀬櫂の、撮影現場に偶然遭遇して……」
一ノ瀬櫂の名前を出せば
春はピクリと反応していた。
「そこで………、…………」
「…そこで、なに?」
「……………………」
「凛」
「っ、」
その後に続く言葉を言いずらそうにしていると、春は冷たい表情のまま私の名前を呼んだ。
「言って。」
この時、その一瞬だけは
彼の瞳にちゃんと私が映った気がした。
ほんと…綺麗な目だな。
引き込まれそうになる。
「そこで……」
言葉にしようとすれば何故か目頭が熱くなった。
ああ、もう、ほんと
「アンタが……キスしてた。綺麗な人と、何度も」
言葉にすればするほどショックを感じてしまうくらい
私はこの人のことが死ぬほど好きだ。



