【続】酔いしれる情緒



それを目の当たりにしてはジトっと手に汗を握った。


脳裏に蘇るあの日のこと。

私は初めて春以外の人に抱きしめられた。

そう………佐藤くんに。


その記憶を鮮明に思い出させるモノが今、私の前にある。



(まさか……撮られていたなんて)



いつ?どこから?


全然気づかなかった。



『週刊誌の記者らは何より人気者の異性関係のスキャンダルを好むんです。
当本人に悪気がなくても、ネタになりそうな事なら記事にする。』

『人気俳優の妻である貴方も例外では無いってことですよ。』

『春に迷惑をかけたくないのであれば、今後騒ぎになりそうな事は控えてください。』



あの時の橋本の言葉が今の私に棘を刺していく。


そう言われたばかりだというのに…



「っ、」



感じる視線が冷たいことに気がつくと、胸がギュッと締め付けられた。


パッと顔を背けてしまう。


………苦しい。苦しくて仕方がない。


心臓の動きは速さを増し、呼吸も微かに乱れた。


目が、見れない。

どうする?

なんて言えばいい?


あの日のこと、なんて説明すれば───…