春は私の髪を手の中で滑らせたり、優しく掴んだりを繰り返す。
今まで触れられてこなかったからか、髪を触られているだけなのに鼓動は高鳴ってしまって…
「春……」
触れたい。
もっと触れて欲しい。
髪だけじゃなくて、もっと、もっと私に──…
「凛」
欲が私を支配する中、彼の声が耳に響く。
瞳いっぱいに彼の姿を映した────その時。
「っ、!」
髪にあった手が今度は私の首裏に回り、
真近までグッと引き寄せたのだ。
唐突のことにびっくりして目を丸くさせる私に春は平然とした顔で言う。
「俺に隠してることない?」
「えっ…?」
隠してる、こと…?
至近距離。
久々のこの距離にドキドキと胸を高鳴らせながら必死に考えた。
私が、春に、隠してること…
「………ない、けど…」
というか。
どちらかといえば……それは春の方では?
そう思ってしまったが、
聞いてしまえば終わりだ。
私と春の関係が終わってしまう。



