【続】酔いしれる情緒


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勤務時間はいつもより早く終わりを迎え、重たい足取りで家に向かった。



「…………………」



鍵を片手に持ちながら
ドアの前でピタリと動きを止める私。



(この時間はまだ……帰っていない、よね)



たぶん。きっと。

帰ってきていない。と。

そう自分に言い聞かせてどこか緊張している自分自身を前へと動かせる。


鍵を開けて、ドアを開けた。


だが。

またその場でピタリと動きを止める。


視界に真っ先に映ったのは春の靴だった。


それを目にした瞬間ビクッと身体が反応した。



(帰ってる…)



この時間に?

普段ならまだのハズ。

仕事が早く終わった?


全くもって怯えるようなことじゃないのに、今日離婚を宣言されるかもと不安になっている私にとってはこの事実に酷く動揺した。


本当に…言われてしまうんじゃないかと。


しかも。


帰宅が春の方が早い時、普段なら、
私が帰ってくると玄関先まで来てくれる。

「お疲れ様」だとか
「今日も1日よく頑張ったね」とか。

優しい笑顔でそう言ってくれるのに……



「っ…………」



不安になっている中で
もちろんポジティブになれる訳がなく、


普段とは違うこの雰囲気から
離婚がやけに現実味を感じてくる。



疲れてもう寝ているのかも。


そうだとしたら………


このまま逃げ出しても、バレないんじゃ。