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「安藤、着いたよ。」
その一言で今までボーっとしていた頭がハッと我に返る私。
「あ…」
「ここでいいんだよな?」
「うん…ありがとう。」
車の窓から外の風景を確認する。
そこは私の仕事場である、あの本屋。
今日車で来ていたらしい佐藤くんにそこまで送ってもらったのだ。
「……大丈夫か?」
未だボーっとする脳内に佐藤くんの声が響く。
「大丈夫」
「……そっか。」
ならいいけど、と。
心配そうに私を見る佐藤くんに私はニコリと笑ってみせる。
「あーゆー場面ファンからすると結構ショックだよなぁー…」
「………………」
「まさか安藤が一ノ瀬櫂のファンだとは思わなかったけど」
「………うん。そうだよね」
さすがに結婚相手だとは言えず、ファンということにした私。
そうすれば、あの時の私の態度とか……全て上手くまとまると思って。



