あの日。私が指輪を付けてなかった日。
春は私にキスする素振りを見せたくせに、結局何もせずに終わった。
あの日だけじゃない。
一花さんの話を聞いた後から
一切そういう行為をしていない。
お互い忙しいだとか、そういう理由でもなくて。
一緒に居ても、一緒に寝ても
春は最近私に手を出さないのだ。
(その人とはして、私とは、しない)
その人とは仕事だから仕方がない。
でも、そうだとしても、
(私に…してくれないのは、なんで?)
考えれば考えるほど心がしんどくなってくる。
小さく息が荒れては
「やめてよ…」
小さくそう呟いてしまう。
『役作りとして、一花とは全部した。
男と女がするようなこと、裏で全部。』
「私じゃない、誰かと、そんなことしないでよっ…」



