【続】酔いしれる情緒


唇が離れると目が合って


ジッと見つめてくるから
もう一度するかと思ったのに


春はそのまま私の肩に頭を預けて、再びギュッと、私を抱き寄せた。



満足した、ってことなのかな。


分からないけど、まあいいやと、私は春から視線を外して外の景色を眺めた。



(あとは下っていくだけ…か)



大きい観覧車でも意外と一周って早いんだな。


終わりが近づいていると知ると
まだもう少し乗ってたい、なんて。

なんだか物足りなさを感じてる。



(まあ……その前に、)



コイツには一旦離れてもらわないと。

こんな場面をスタッフに目撃されたら恥ずか死ぬ。



「春、そろそろ──」

「あのさ。」

「ん?」



肩に重さを感じなくなった。


ということは、春が顔を上げたからで



「『同じ世界で生きて』って。あれ、どういう意味?」



ドクンッ



「え…?」

「倒れたあの日。凛がそう言ってたから、どういう意味なんだろうと思って」



心臓の動きは速さを増すばかり。