【続】酔いしれる情緒



「ごめん、嘘ついた。
高いところは全然余裕で寧ろ好きな方。
でも怖いふりしとけば俺の近くに来てくれるかな〜と思って。」

「じゃあなに、私はまんまと騙されたわけだ?」

「騙されちゃったみたいだね〜」

「………………」

「怒った?」

「呆れてるだけ…」



コイツに対しても、自分自身に対しても。

まんまとコイツの演技に騙された自分が気に食わない。

結構長い時間一緒に居るにも関わらず、未だにコイツの演技に騙されてばかり。そろそろ見極めなよ、私。



「あ。そろそろ頂上だ」

「しないよ」

「まだ何も言ってないのに」

「嘘つく奴とはキスしない」

「ごめんってば〜」



ぎゅう、と。

お腹に回された腕がもっと身体を引き寄せる。


どんなに甘えてきたって絶対にしない。


まず、頂上でキスなんて、それこそ誰に見られているかわかんないんだから。