「……終わったか?」
ポツリと誰かがそう言った。
その言葉に私も顔を上げる。
確かに、隣の部屋から聞こえてくる音が無くなった。
耳を澄ましてみるも
話し声は、ない。
てことは……終わった、のか?
立ち上がり、中の様子を見ようとした。
が。その前にドアが開く。
中から出てきたのは……春ではなく、一花さん。
視界に彼女の姿を映した時、反射的にギョッとしてしまった。
あの時の殺意の目と
首元の圧迫感が蘇ってしまったからだ。
彼女の目は前髪で隠れていて、目が合うことは無い。
ふらふらと歩く一花さんにこの場では静けさが広がる。
そしてピタリ。彼女の動きが止まった。
かと思えば、それは私の目の前。
(なに…?)
もちろん警戒し、身体は固くなるが
「おい…」
橋本が真っ先に私の前へと入ってくれたおかげで少しだけ緊張感が薄れた。
また何かされるのだろうか。
緊張感が薄れたとしてもじわじわと変な汗が出る。



