【続】酔いしれる情緒



「いつから好きなの?」

「え?えー……」



佐藤くんの唐突な質問に頭をフル回転させる私。


隣でニヤニヤとキモイ笑みを浮かべる橋本のことは一旦無視しよう。



「……あ。あの、清美一花と共演してた番組から…」



ずっと心の中でモヤモヤとしていたからか、一ノ瀬櫂のことでスグに思い浮かんだのがそれで。



「じゃあ結構前から好きなんだ」

「知ってるの?」

「知ってる知ってる!あれでしょ、結婚リアリティ番組的なやつ。有名だから誰でも知ってると思うよ」

「へえ……」



有名だったんだ。


そんなに人気があったんだ。


てことは、

それが初めての仕事だった春にとって
その作品は強く記憶に残るものなんじゃ。


私にカミングアウトした時、春は鮮明に覚えているような口調だったし。



また心がモヤモヤとし始める。


その気分を振り払うように私はコーヒーを1口飲んだ。



と。



「あ、そうそう。知ってる?」



佐藤くんも1度コーヒーを口にして



「あの日、その清美一花もいたらしいよ」

「…………え?」

「友達から聞いたんだ。遭遇したって。
プライベートかな?仕事って感じじゃなかったらしいけど」

「プライベート…」



…………………まさか。



と。

心のどこかで引っかかった、その瞬間。



「それ、本当?」

「!!」



突如、私の後ろにひょっこり現れた男。


声からして誰なのか気づいた私は咄嗟に『春』と名前を呼んでしまいそうになるも、春はそんな私の口を手で塞いだ。