【続】酔いしれる情緒



「………。あのね、佐藤くん」

「うん…」

「実はこの写真、誰に撮られたのか私達にも分からないの」

「…………え?」

「家のポストに入れられてた。住所も何も書かれてないから、直接入れたんだと思う」

「ま、まって。じゃあ、旦那さんが浮気調査を頼んでいたとかそういうのじゃないってこと?」



どうやら佐藤くんは旦那(今は橋本)が私の浮気を疑って、浮気調査として探偵だとか誰かを雇い、その人たちに撮影されたものだと思っていたらしい。


それに対して頷けば、佐藤くんは力が抜けたように背もたれへ深く身体を預ける。

分かりやすくホッと安心した顔を見せていたけど、スグにパッと顔を上げた。



「てことは、誰かが勝手に俺と安藤の写真を撮ってポストに入れたってことだよな?」

「うん」

「誰がそんなこと………嫌がらせじゃん」

「だから今探してるの。この嫌がらせをしたのは誰か。………佐藤くん、あの日のことで何か知ってることはない?」

「知ってること?」

「誰か怪しい人がいたとか、聞いたとか。どんな些細なことでもいい。何か知らないか?」



橋本が久しぶりに口を開くと佐藤くんは「うーん…」と眉間に皺を寄せて考え始めた。



「とは言われても……特にこれといったことはなかった気がする…」

「(やっぱりそうだよね)」



というか、突然こんなことを聞かれても分からないはずだ。


しかもあの日は人も多かった。


一ノ瀬櫂がその場にいて、ほとんどの人が彼の姿を写真に収めようとスマホを片手に持っていたから、

その中に私と佐藤くんの写真を撮ったやつがいたとしても全く違和感がない。