過激派な古賀ファンもいなくなり、退学という前例が出来たことで、古賀くんの恋愛は自由になった。
そのせいで休み時間になる度にうちのクラスに来るようになった。私には婚約者がいるので恋人にはなれないと何度も説明しているのだが、それでも一緒にいたいと言ってくれ毎度通ってくれている。

「あら、また来てましたの?」

「うん、琴乃ちゃんと一緒にいると癒されるんだもん。」

「コイツのどこが癒されるんだかっ。」

「ちょっと!どーゆー意味よ!」

「琴乃ちゃん、晴翔は素直じゃないだけだよ。」

「琴乃さん、モテモテですね。」

古賀くんが来ると毎度こんなガチャガチャした感じだった。

「来週のテストか終わったら皆んなで何処かに遊びに行きませんか??最近、先輩としか遊んでいないので、たまには皆さんとお出かけしたいです!」

「楽しそうですわ!深雪さん!私イルカのショーが見たいですわ!」

「僕も琴乃とイルカのショー観れたら幸せだなー!行こうよ琴乃!」

「イルカのショーって事は水族館ね!ペンギン見たーい!柳くんはどぉ?」

「俺は皆んなで行けるならどこでもいいよ。晴翔は仕事が忙しいかな?」

「はっ?俺だけ仲間はずれにする気か??」

っと言う事でテスト期間が明けたら皆で水族館へ行く事になった。
楽しいことが待っていると思うと俄然やる気が出る!しかし困ったことに先日1週間丸っと休んでしまった為、自信のないところが結構あった。1人赤点を取ってしまえば一緒に水族館へ行かなくなるかもしれない…。何となくプレッシャーを感じた。

「なに不安な顔してんだよ。」

「えっ?真宮くん、何でわかった?」

「…お前のことなら気づくよ。で?どうした?」

「こないだ1週間熱出して休んでたから、ちょっとテストが不安で…。」

「…ふーん、で?」

「え?」

「俺、天才で有名なんだけど。こーゆー時言う言葉あるんじゃねーの?」

なんだか悪い顔をしている。

「…意味わかんない。」

「だからっ!俺、天才なの。高校の授業なんて簡単なの。お前テストの点数が心配なんだろ?そーゆー時に言う言葉があるんじゃねーのかって言ってんの。」

「…勉強、…教えてください?」

期待していたこの言葉に満足したのか、めちゃくちゃ笑顔になり

「いいよ。」

と言って私の頭をぽんぽんと撫でた。