義雄「でも…オレのこと好きになってくれる人だったら……」
理佐「え………」
義雄「…………?」
理佐「それって……」
義雄「………ん?」
理佐「自分からは告白しないってこと?」
義雄「え………」
理佐「だって『自分のことを好き』てわかってる子じゃないとダメならそうなるじゃん」
義雄「え………そうなの?」
理佐「『自分が好きになった人』じゃなくて『自分のことを好きになってくれる人』なんでしょ?」
義雄「ん???」
理佐「相手が自分のことを好きだってわかってから告白するの?」
義雄「え??……そうなるの?」
理佐「そうなるじゃん!」
理佐「じゃあ私が先に『好き』て言わなきゃいけなくなるじゃん!」
義雄「え!? 何で渡邉さんが……?」
理佐「あ………」
義雄「え………?」
理佐「違うっ!!例えばの話!!」
義雄「あ、あぁ……例えば……ね」
理佐「じゃなきゃどうやって相手が自分のことを好きだってわかるの?」
義雄「あー……そうだよね……そうなるのかぁ……」
義雄「でもオレはオレで好きな人が出来たらちゃんと告白するよ!」
理佐「そうなの?」
義雄「うん、するよ!」
理佐「ふぅ~ん、そうなんだ……」
義雄「うん、やっぱそう言うのって男からするもんでしょ?」
理佐「フフッ、西野くんて意外に古風なんだね」
義雄「そう? でも女の子に告白されるってのもいいかも」
理佐「えー!それってすごい勇気いるんだよー」
義雄「うん、そうだよね……」
義雄「え!? 渡邉さん誰かに告白したりとかされたりしたこととかあるの?」
理佐「え!? ないよーそんなのー!」
義雄「そうなんだ……じゃあ初…」
義雄「あっ!いや、何でもない!!」
理佐「え、何ぃー!言いかけて止めるなんてずるーぃ!!」
義雄「いいよ、気にしないで!忘れて!!」
理佐「もおー!」
義雄「あ、えっと……じゃあオレこっちだから」
理佐「あ、うん……気を付けてね」
義雄「うん、渡邉さんも」
理佐「ちゃんと勉強してよ」
義雄「うん、わかった頑張るよ」
理佐「絶対だよ」
義雄「うん、じゃあね」
理佐「うん、バイバイ…」
そして彼は自転車で走って行った……
私は彼が見えなくなるまでその姿を見送っていた。
第百六十五話へつづく…