神崎先輩だって、田邊だっていつも自分から誘ったわけではないのだ。 その転校生くんが私に目をつけなければいいだけのこと。私や田邊とは違って真っ当な人間かもしれないし。 イケメンだからって、顔が整っているからって全員が全員遊びたいわけではない。絵凪がいい例。 ……なんて、どうしてこうも呑気に考えられていたのだろう。 どうして全くピンと来なかったのか。数時間後、私はすべてのピースが揃って逃げられないことを確信する。 朝降り始めていた雨は、本降りに変わっていて折りたたみ傘じゃ心もとなかった。