「あ、おかえり遥乃!」



教室に戻った私に気がついた絵凪が声をかけてくれる。相変わらず絵凪以外は敵にしか見えなくて、感じるのは好奇の目。


きっと気になってるんだろうなぁ。呼び出されて、どんな話をして何を言われたのか。


あなたたちに教えるわけはありませんけど。


こういうのは弱々しくなったら負けだ。


気にしていません、と堂々と歩くことが一番、なはず。


向けられる視線に気がついていないふりをして、私の机でお弁当を広げている絵凪のところへ一直線に歩く。
ゴールの絵凪は相変わらず満面の笑みを浮かべて手を振っている。


千輝くんへドキドキしまったのと、走ったせいで体が火照っている。

絵凪に話しかける前に、息を整える。バレないように。