甘く、溶ける、君に。



それはもう、間違いなく。もしかしたら田邊はそう思っていないかもしれないけど、私と同じ気持ちでいてほしいから、そう思っとく。


いつか離れてしまっても、いいから。


だから今はこの空気感に浸っていたい。



「まぁ、そういうこと。俺、遥乃に本気になったらぜってー戻れねぇもん」


「確かに。田邊くん、遥乃から抜け出せなくなりそう」


「案外私も、田邊から抜け出せなくなったりしてね」



……なんてね、もしもの話。99.9%、ありえない話。


だって私は、誰にも本気にならないから。