甘く、溶ける、君に。



腰に手を当てて、田邊に対して怒ったようにする絵凪。いつも田邊は絵凪をからかっていて、この光景も見慣れたものだ。



正真正銘、"軽い女"なのは私のほう。

だけど初めて会った人にはほとんどそんな風には思われない。そんな私とは逆で、初対面で軽く見られてしまうのが、絵凪。



確かに見た目は派手でいかにも遊んでそう、って感じだけど中身は全くそうじゃなくて可愛いくらい乙女なのだ。



中学生の時から付き合っている彼氏とかれこれ今年で3年目を迎えるらしい。


絵凪の話は大抵彼氏さんとの惚気話なのだけど……最初についてしまった絵凪へのイメージと、私と仲良くしているという事実のせいで"佐々木 絵凪は誰とでも寝る"なんて噂は二年になった今でもなかなか払拭されない。



絵凪の綺麗な容姿もその噂を加速させている要因でもあるけど、私がいることによってさらに悪化してしまうのなら、私は離れた方がいい……何度もそう、伝えているのだけど、絵凪は私と関わることをやめない。だから私も、諦めて絵凪のことは信頼することにした。