「心から、体から、頭から、私の全部から千輝くんが消えなかった。
千輝くんが好きです。どうしようもなく好きで、千輝くんに会いたい」
「……うん、知ってた」
「ごめんなさい。田邊にはたくさんありがとうって言いたい。ありがとう。
いつも私を理解してくれて、私のこと考えて、私と一緒に"最低"でいてくれた。もう田邊は、最低な人じゃない」
「それは、遥乃も」
ちょっとだけ口角が上がって、私はそれを見て泣きそうになって。
世間的には酷い男だったかもしれないけど、田邊はいつも優しくて、その優しさが今も、見えて。
ここで泣きそうになるのはずるいのに、田邊の優しさには私も弱い。



