「真正面から見てみると案外わかりやすいよな、遥乃」
机に軽く腰掛ける田邊がこちらに顔を向けたのがわかって、私も同じように顔を向けた。
眉を下げて声色も切なくトーンが低くて、
私はこれからこの人を傷つけてしまうのかといますぐにでも言うことをやめたくなる。
でもやめてしまえば、それがなにより田邊を傷つけてしまうから絶対に言わなきゃいけない。
私は早く、最低な自分をやめなければいけない。少しずつで、いいから。
「……田邊、」
田邊の名前を呼ぶだけでこっちが泣きそうになるなんて私はどこまでも自分勝手だ。
私がこうじゃ、いけないのに。



