甘く、溶ける、君に。




人の目なんて気にならない。私も田邊も。


だけどそれがみんなの興味を誘うようで、教室に到着するまでコソコソと私たちの話をしているのが聞こえてくる。


あることないこと……どっからそんな噂が湧き上がってきてるんだろう。


別に神崎先輩とも田邊とも、付き合ってるわけではないのに。


はぁ、とため息をつきながら机の横に鞄をかけた。


朝、千輝くんと再会したなんて忘れるくらい疲れていた。


人の目が気にならないと言っても、コソコソ噂話をされれば私もいい気分はしない。いくら私でも、コソコソ話し続けられれば疲れる。



「……ったく、朝からうるせぇやつらだな」



きっと田邊も同じように思っている。



同様に鞄を机の横にかけた田邊は、自分の右手を折って頭を乗せて、机に突っ伏しながらこちらに視線を向ける。