「……遥乃、前言撤回していい? 抱きしめたい、」


「……断れないのわかって聞いてる?」


「ちょっとね」



マンションの前、なんて道端。

けれどこの辺は人通りも少ないし、だから人前であまりこういうことしない田邊も言ってきたんだ。



ゆっくり近づいてきて、優しくぎゅっと、田邊の腕が私の背中に回る。



田邊にぎゅっとされるのが一番好き。

いつだって優しくて、宝物みたいに抱きしめてくれる。