「あーあ。せっかく遥乃の頭ん中俺でいっぱいだったのにな?」
「……え、田邊、何か言った?」
「聞こえてもねーのかよ。何もないよ」
目を奪われ心を奪われたパフェの向こう側の田邊がぼそっと何か呟いた気がしたけど、気のせいだったみたい。
パフェを目の前にした私、やっといつもの私になったかもしれない。案外チョロい女なのかな。
「いいよ? 食べなよ?」
「じゃ、じゃあ……いただきます」
田邊はコーヒーだけだからちょっとためらって様子を見たんだけど、
私の心を読み取ったようにそう言ってくれて。
遠慮なく、スプーンをとって口に運ぶ。
口の中に広がる甘さ、ホイップの甘さとイチゴの甘酸っぱさがマッチして自然と口角が上がる。



