甘く、溶ける、君に。



本当に私、意識しすぎだよ。ドキドキしてるのも、きっとばれてるくらいだ。


そのタイミングで店員さんがドリンクとパフェを運んできてくれる。



店員さんが私たちの空間に介入したその一瞬で、少しでも心を落ち着けようとするのに、

相変わらず穏やかに私を見つめる田邊が目に入れば、またすぐ心拍数は上がっていく。



きっとほとんど誰にも見せたことない顔。


田邊はずるい。そんな顔を見せて、優しくて、甘くて、癖になりそうで、本当にずるいの。



だけど田邊に対して特別な感情を持っているわけでもない私が、

その表情、行動にいちいちドキドキして意識しすぎてしまうのもきっと十分ずるい。



そんなずるい私は、30秒くらい前まで田邊にドキドキしてしまってしかたなかったのに、

今はもう目の前に運ばれたイチゴパフェに心を奪われてしまっている。



惜しみなく乗せられたイチゴとホイップクリーム、ドキドキがパフェに対するワクワクに変わる。罪な女な自覚はある。