「うん、まあ俺がそうさせたし。素直じゃないけど、素直なとこもあって……本当かわいーね」
猫みたいで甘くて整った顔立ち、でもちょっとだけキツく見られる田邊だけど、いま私を見つめる表情は優しさに溢れていて。
目尻を下げるような優しい笑みを向けられて、ドキドキしない女子なんてこの世に存在する?
田邊にこんな顔向けられたことないの。こんな顔はきっとみんな知らない。
私が今まで見てきた、私の知ってる田邊は、私だけが知ってるんじゃなくて、みんなが知ってる田邊だった。
いろんな女の子に見せてる、田邊の顔だった。
「……もう、ぜんぶ田邊のせい」
「俺は普段と違う遥乃が見れて嬉しいけど? あと、遥乃いっこ忘れてることある」



