甘く、溶ける、君に。




周りには聞こえないように、小声で伝えたけれど田邊には響かず、元々の顔立ちも相まって甘く微笑んで私を見つめ続ける。



それでいて手はずっと意思があるかのように私をもてあそぶようにしていて、感触から、視線から田邊を感じて映画に集中なんてできやしない。



嫌だよとでも言いたげなその顔が、すっと私に近づいてくる。



耳元に顔を寄せられただけで、ぱっと顔が熱を帯びる。

私ってこんなにも、顔とか熱く、赤くなったりする人だったんだ。



吐息まじりの、周りには聞こえないように小さな声が私だけに聞こえる。





______「映画も観たいけど、隣にこんな好きな女いたらそれ以外目に入らないよ」