甘く、溶ける、君に。



それでもポップコーンを食べる手は止まらなくて、だからこそこれくらい自分で払うのに、って。


田邊はいいよって言ってくれてるけど、自分があんまり納得できなくて。


こういうときに、可愛く感謝を伝えられたらモテるんだろうなって。


男の子に言い寄られることがモテだとするなら、私はモテる方なのかもしれないけど、そうじゃなくてもっと……絵凪のような感じは程遠い。




「遥乃がポップコーン美味しそうに食べてるのが可愛いから遥乃は何も気にしなくていいの」


「……田邊、またすぐそういうこと言う」


「事実だし? ……あ、始まる」




有無を言わせないようだから、もう私も何もいえない。

申し訳なく思いつつも、ありがたく田邊に甘えるのが最善だと思う。


そしてこのタイミングでほぼ全ての照明が消えて、目の前の大きなスクリーンに画が映される。