ふいに、田邊が口を開いた。 歩いたまま、止まらずに。 こうして歩く私たちは周りからはカップルだと思われるのだろうか。 「俺だってそんな、余裕あるわけじゃねーからな」 「……え」 「俺いま、遥乃の考えてること手に取るようにわかる」 まさに考えていたことを言い当てられたよう。 どこまで、私の考えてることわかってるんだろう。 きっとそのくらい、私のこと見てくれてるってことで、嬉しくも、心臓が少しチクっとして。 「かっこよく見られたいな、とかね。人並みに心配してるよ?」