ちらりと見た、こちらに顔を向ける田邊の顔がいつもと全然違うから、 それが私への想いを表しているようで……いまさら、最低な自分が嫌になった。 田邊に限ったことではないけれど、 こんなふうに私を見つめてくれて、 私もこんなふうに誰かを見つめて……綺麗な恋ができたらよかったのに、 ……なんて。 寂しさを埋めたかったのは私で、私が選択してここまで生きてきたのに、なんてないものねだりなんだろうか。