「朝から俺の好みど真ん中、可愛いね」



田邊のいう"可愛い"はどこか嘘っぽくて、だけど少しだけ信じてみたくて、今まで何度も言われてるはずなのに毎回ちょっとだけ照れてしまう。


だから毎回、私は懲りずに田邊に甘えたくなってしまうんだ。



「……ご飯できてる。食べよ?」


「発言と行動が矛盾してるよ、遥乃さん?」



言いつつ、自分からぎゅっとする。


だって田邊はあったかくて、嘘でも本物みたいなんだもん。


田邊は絶対拒まない。受けいれてくれる。



「うん、知ってる」



名残惜しく感じつつも、田邊から離れる。


もしかしたら、不満げな顔をしていたかもしれない。

田邊が軽くキスを落としたのは、そのせいかも。



その後くしゃっと頭を撫でられて、残りの味噌汁とご飯は全部田邊が持ってきてくれた。


田邊と食べる朝ごはんは、いつもより格段に美味しかった。